アナログオーディオは購入後すぐにはいい音がしない

またオーディオの話です。
アナログオーディオ機器は、デジタルと違って購入後すぐにはいい音がしません。本来の音になるまでかなり時間がかかります。
オーディオ機器は高価です。購入したら直ぐ音を聴きたいところ。でも最初はかなりひどい音なのです。
<Photo data>2018/01/30
ウッパマビーチから古宇利島を望む
曇りですがエメラルド色は健在です。
EOS-1DX EF24-105mm f/4L IS USM 32mm f4 1/320 EV補正無し

アンプやプレイヤーだけでなく機器間の接続ケーブルやスピーカーも同じです。オーディオショップで同じものを購入しても、そのとき聴いた音とは全く違います。ショップの機器は通電が十分に行われており、新しく購入した機器とは異なります。

通電エージングが必要ということですが、最もエージング時間を要するのはスピーカーです。
現用のスピーカー(タンノイStirling)について経過をお話しします。
このスピーカーは、低音と中高音用の2ユニットの構成です。ウーハーとホーンが同軸になって折り、定位が得られやすいことと中高音ホーンの音の拡がりが秀逸です。
このスピーカーの購入初期は、とりわけ中高域がきつく、20分も聴いていると疲れるくらいな状態でした。中高域の音圧が高く、耳にツンツン来ます。低域も最初はただ鳴っているだけの音。とても低域から高域までバランスのとれた音ではありませんでした。

先ずは通電を毎日12時間続けます(12時間オフ)。
通電は無音で行い、何ヶ月もくりかえします。
2-3ヶ月たった頃から、音を出し始め、とにかくキンキン音が強いので、暫定的にスピーカーの向きを変えて耳の位置とずらして行います。

わがままなタンノイです。アンプに頑張ってもらって、毎日のように通電、視聴を繰り返していきますと、ある時音が一変します。
でも、ある時とは、自分の場合、購入から2年半くらい経った頃でしょうか。この日はパワーアンプのスイッチを投入して音を出しても、まことに静かな佇まいです。
ある域を脱したスピーカーは、朗々と音が出るようになります。
交響曲のヴァイオリンパートがいつもはうるさいのに特にピーキーになるわけでもなく、まるでとばりにそっと音符を置くような静かな音です。静かに空間に拡散していきます。2枚目、3枚目とコンテンツを別のコンテンツに換えてみて、ようやくエージングが終わったことになりました。
とにかくタンノイは長いです。前のB&Wの時も1.5年くらい要しましたが、それを1年も超えました。
同じことが、この期間に接続しているスピーカーケーブルです。こちらもそれなりに時間がかかったのだと思いますが、スピーカーと被って、どちらがメインかは分かりません。

パワーアンプはアキュフェーズA-45のデュアルモノ方式(バイアンプ)の2台駆動です。このアンプは古く音は十分枯れています。
スピーカーがエージングされ、やっと安定してきたことで、B&Wとつないでいる仏製ybaのプリ/パワーアンプ一式をタンノイで考えていたアキュフェーズC-2820、A45バイアンプに更新しました。
計画から切り替えに5年かかりました。

プリアンプは、パワーアンプやスピーカーに比べてエージングは比較的短期間で完了します。
c2820は、それでも本来の実力が出てきたのは購入後より1年くらい経った頃でした。C-2820の特徴なのか濃い音です。クラシックやボーカルは秀逸です。音像が従来より一本線で真ん中に立ちます。楽器の前後関係も優れているように感じます。
こうして初期エージングは一通り終わり、しばらく安定した音を聴かせてくれると思います。

なかなか理解し難いエージングです。
うまく説明できませんが野球のグラブの様なものでしょうか。買ったときは皮が固くて、ボール処理もしずらいのですが、たがて使い込んでいくことでなじんできます。

エージングは「使い込み」、「なじみ」だと思います。使用することで良くなっていくのです。時間がたったところが性能設計されている状態だといえます。
電気機器ですから、ケーブル内の導体の結晶粒界、半田接合部やネジ止め接触部、コンデンサーの振動安定制、磁気抜けなど抵抗や容量計では測定できないパラメーターが動いているのだと思います。「鳴らす」ことで「なじんでいく」のだと思います。

エージングを早くする手段として低い音から高い音が混じったピンクノイズを使用する方法があります。でも自分は次のシステムも本来の通電式でいこうと思っています。時間がかかっても辛抱し、おちつきのある機材に仕上げていきたいと考えています。
(デジタル機器は、関係ありません。アナログだけです)

K.Fukuma
1st 2018/02/16
2nd 文言の部分修正 2018/02/18
3rd 文言の見直し 2019/09/10

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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