オーディオの音を良くする(ピュアオーディオはスピーカー後方に響きの空間を作る)

「オーディオの音を良くする」ことについて、これまでのポイントを整理すると、
①オーディオ再生装置からノイズをのせずに信号を取り出す
②取り出した信号を低歪で増幅する
の二点です。

今回は増幅した信号をスピーカーに伝え、鳴らす段階の話しです。誠に手前勝手な考えです。ご興味ある方はお読み下さい。

ステレオ2ch(チャンネル)は、左スピーカーからは左信号、右からは右の信号が出て来ます。録音された左右の音は別々に増幅し空間で合成されます。従って、スピーカーは左右対称に設置することが良い設定ということになります。

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<Photo Data> 2015/02/01 今帰仁城の城壁と沖縄桜(沖縄の桜は日本で一番早い開花だそうです。桜の木がズーム不足ですが花は濃いピンク色です。城壁の色との調和が良い感じです。) EOS5DMarkII EF24-105mm f4/L IS USM 1/400 f4

 

 

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<Photo Data>2015/03/31 清水寺公園(海老名)の桜 EOS5DMarkII EF24-105mm f/4L IS USM ISO100 24mm 1/1000 f4  

一番影響が大きいのは視聴者とスピーカーの空間です。視聴者に届く音は直接音がメインですが、フロントスピーカーの音波は周囲の壁や床にも届き、その反射音もやって来ます。左右のどちらかのスピーカーが横壁に近いと、近い壁の反射がより強くなって音の中心はズレてきます。スピーカーの設置は反射も考慮して、やはり正面の左右の壁から均等設置が望ましいことになります。

もう一つ問題があります。スピーカーを駆動すると、平行する左右の壁と天井と床との間で、音波の往復による不要な波が生じます。定在波と呼ばれているこの波は、周波数特性を部分的に強調または低下させてしまいます。
対策は、部屋の上下左右のバランスを崩すことです。片方の壁に対面と異なるものを置くことが効果的と言われています。しかし、置いたものの違いは直接波の反射にも影響しますので、やはりステレオバランスが崩れます。この方法もベストではありません。

もう少し有効な方法として、定在波を拡散、吸音する拡散吸音材を使用する方法や、f特のピークやディップを補正するルームイコライジング等があります(ピュアオーディオ用のイコライジング機器は、例えばアキュフェーズのヴォイシングイコライザー(DG-48、58)などがあります)。
ピュアオーディオで部屋の特性を補正しない場合、どんな高級システムを置いても実力が発揮できないと考えられます。

この様に補正をかけるには多少投資が必要です。今回はその一策として、出てきた音の伝搬と合成を考えてスピーカー後方に少し空間を設けることで定在波の最小化を行うというものです。ローコストでバランスの良い視聴環境が得られましたのでご紹介致します。

この方法は最低限のルーム補正は行い、2chステレオによる正面合成を出来るだけ行う様にします。(この調整はイコライズ機器などを導入するしないにかかわらず有効だと思います)。
先ず、ルーム補正は「キンキン」とした中域以上の定在波を抑制します。有効な吸収材料をハウスメーカーと相談し、床との対抗面積が広い天井に吸収材を施工することで往復波を減衰させることにしました。

一方、前方の空間は積極的に2ch合成をさせます。ステレオ感を高めることを目指します。
自分の方法は、スピーカー後方に一定の空間を確保します。この空間は合成の妨害を減少させると共に、合成した音波による響きを高める場所となることを目指します。イメージはコンサート会場の仮想ステージのようにしていくのです。

設定例です。
スピーカーは左右均等に設置します。スピーカーを動かしていくと合成と響きのベストポイントが出てきます。セッティング可能な範囲は部屋の状況によるとは思いますが、アロウアンスがわずかな場合もあります。時間をかけてスピーカーも重いのでゆっくりと行います。

さらに、左右のスピーカーの前面を結ぶラインから奥の壁までの空間には何も置かないようにしました。正面のスピーカーの間にもラックやアンプも置かないようにします(非センターラック式)。比較してみると分かりますがセンターラックは左右の合成が損なわれ定位しにくくなります。
この空間を小さな仮想ステージとみなせば、何も置かないことで録音時の再現性が高まって音像もより明確になり、空間の響きが改善される様になると考えます
さらに、スピーカー前面を結ぶ線から視聴位置まで見通しの良いViewが形成できればベストです(スピーカーの前面を結ぶ線より視聴者側にウーハーより背の低いパワーアンプなどは置いてもその影響は過小です)。

定在波吸収用の天井材はダイケンのクリアトーン12mm厚を使用しました(既存の天井にそのままかぶせ貼りが可能です)。この天井材は細かい穴がたくさんあいています。音の吸収以外に湿度調整効果もあるとされています。何となく部屋にいても落ち着く感があります。
施工後では部屋の残響は大幅に減少しました。音や声が良く通るようになり、部屋の中で手をたたくと残響が減ったことが分かります。
定在波による影響もヘッドフォーン視聴と比較してみると満足のいく環境になりました。今回は低音の吸音、拡散板は使用せずともバランスが非常に良くなったと感じます。

AVアンプを用いて部屋の音響補正をかけた場合と比較してみました。スピーカーも違う別システムです。同列には評価できませんが、ピュアオーディオは相当良好な視聴環境になったと思います。
(2Fに施工したオーディオルームですが、1Fとは分離天井、2×4構造、13.5畳です。)

別法があります。
これは前にご紹介したAVアンプを使用する方法です。再生はPCによるリッピング再生で行います。PCからのデジタル出力をAVアンプにつなぐ方法です。AVアンプによって、視聴位置で最適になるようにルームイコライズをかけます。AVアンプではピュアオーディオほどの音が得られないという向きには、AVアンプのプリアウトをピュアオーディオのパワーアンプにつないで、ルーム補正すると良いでしょう。

以下はいつもの蛇足です。
自分は音楽を聴きながらどうしても正面を視座してしまいます。目線中央が当然音像中央になります。こういった時、一度スピーカーの設置を左右厳密にミリ単位で計測しセンターマーカーを正面に固定しました。センターが分かるマーカーがあると自分の場合は視座の問題から解放されます。スピーカーセンターは正確に音像中心であるとの信頼を作っておくわけです。

蛇足の二つ目は(多くの設定例をネットで見つけることが出来ます)左右のスピーカーのふり方です。スピーカーはやや内角視聴者方向です。スピーカーと視聴位置で出来る三角形の頂点を視聴位置とします。頂点は前後数m以内に決めます(自分に適した音が得られればそのポイントで、かわらなければ三角形のどこでも良いということです)。
スピーカーと視聴者の関係でステレオの基本は、一辺3mの正三角形だそうですが、視聴者側に長い二等辺三角形が現実的です(^-^;)。
また、両サイドの壁を積極的に利用し、斜め外角にスピーカーを向けて反射を利用する方法もあります。スピーカーを天井に放つ設定もあります。自分は後方で合成させる方法ですが、後方を選べないときは、壁がしっかりしているときだけですが外角に向けても良いと考えます。後方でも横壁でもいずれにしても一次反射を視聴位置に来るようにしなければなりません。
また、スピーカーの高さですが、耳の位置がスコーカーとトゥイーターの間あたりとするのが良いとされています。高音用スピーカーが耳の位置の場合、少々高域がきついかもしれません。

蛇足が続いて申し訳ありません。空間の広がりと関連しますので追加致します。
スピーカーのワイヤリングです。自分の場合は「バイワイヤ」は相当高価なケーブルにまで高めてやっと満足する音になりました。よく、スピーカーのHi、Loのジャンパーが問題といわれていますが、経験だけの測定では付属のジャンパーでも比較的良好なスピーカーケーブルを用いれば、アンプからはノーマルな二線結線が最も音楽性が高くなるようです。
但し、スピーカーによってはネットワークに癖があり、どうしても多少音域にピークが出来るため、こういう場合は(ジャンパーはつないだまま)スピーカーのHi、Loの4端子の+をHi、ーをLoにするとバンドの偏りが割と平坦化します(逸品館で推奨されている方法です)。

蛇足の最後です。
スピーカー後方に響きの空間を確保しても、液晶テレビを前方スピーカーの中央に置くのは推奨できません。液晶の硝子は硬度があります。視聴者側に中域以上の比較的強い反射が起こります。録音とは違う中域の強調された音です。定位もかなり悪化します。
シアターなどディスプレイを置きたい場合は(ピュアオーディオと兼用する場合は)、やはりフロントディスプレーはプロジェクターにするのが良いでしょう(プロジェクターは騒音が問題ですが)。

1st 初稿と文言修正 2015/03/28
2nd 文言加筆訂正 2015/03/29
3rd 一部修正追加 2015/03/30
4th 追記 2015/03/31
5th Photo追加 2015/04/01
6th 一部修正 2015/04/03
7th   追加視聴調整後のコメント追加 2015/04/23
8th 検討結果による文章修正 2015/05/09
9th 効果など追記 2015/05/31
10th 追記 2015/11/16
11th 誤記訂正 2016/08/23
12th 全般に見直し 2017/02/28

K.Fukuma