ファイルメーカーでポータルを活用した販売管理ソフトの構築

業務用の使用中の販売管理ソフトはWindows専用です。Macではカバーされていません。Macでの利用が必要となり、ソフトも使い勝手も気になるところが出てきて、この歳で無謀とは思いましたが自前でソフトを構築することにしました。
(本プログラムは、HPの「FileMaker 販売管理」でご案内をしております。
ページをご覧下さい。)

MacとWindowsのどちらでもということで、ファイルメーカーでのチャレンジです(初期に参考にした書籍は文末を参照下さい)。3月に取り組みを始めて延べ3ヶ月、何とか「ポータル」を活用した販売管理システムが出来ました。難しい場面をいくつか経験しましたので簡単にご紹介したいと思います。

_MG_6896<Photo Data>2013/12/10 近在の梅林 Adobe Lightrooom「昨年モード」特殊現像にて
1/160 f2.8 EOS5DMarkII EF16-35mm f/2.8L USM

ファイルメーカーの入門書から、レイアウトにポータルを配置して、データーを取り込んで表現するということのようです。販売システムとしてお客様にお出しする見積書、納品書、請求書などの帳票はポータルで表現できると考えました。

プログラム構築で苦戦したのは掛売と都度請求の処理です。都度請求は伝票単位請求、掛売は月末など期間を決めた一括請求です。請求単位がそれぞれ異なります。当初は教科書にある開始と終了日付を使ったリレーション絞り込みでチャレンジしましたが、とても困難で全面的にやり直しをし、伝票単位請求リストと期間請求テーブルを組むことで対処しました。
また、繰越、販売、入金、請求など縦横集計表が必要です。これをスクリプトでリード・ライトするのはファイルメーカーではかなり面倒な手続きが必要でした。他の言語にあるような配列が欲しいなと思いました(あるのかもしれませんが)。

もう一つは帳票の印刷です。特に罫線の重なりの部分を座標を線の太さまで考慮して合わせるのは大変で、今回は手持ちの市販伝票に印刷することにしました。市販のものは細部表現が優れていて企業の出力帳票としても十分だと思います。出力例は下記をご参照下さい。

また上部が納品書、下部に請求書と、A4上下 の分割印刷が必要なケースではポータルが大変役に立ちます。レイアウトで納品書、請求書の各印刷区域をポータルで設定することで可能です。但し、請求明細書は、請求期間内で請求伝票が複数ある場合はポータルは適しません。末尾に連続して印刷していく方式となりますので、この場合は繰り返しフィールドを用いました。

スクリーンショット 2014-06-14 11.09.26

今回の販売管理の基本構成は以下になります。

  1.  明示したい主なデーターは商品名、コード、数量、単価、金額などです
  2. 商品テーブルにこれらのデーターを格納します
  3. 商品の売り先であるお客様情報を入れる顧客テーブルと自社を登録する自社情報テーブルを用意します
  4. 受注以降は受注伝票テーブルを設け、見積もり、受注、以降売上、請求までを一貫台帳化します
  5. 各テーブル間をポータルで取り込めるようリレーションで結びます(リレーションは、「何をどうするか」を考えて何通りかを検討すれば良いようです。顧客番号、各伝票番号がリレーション基礎になります)
  6. 見積〜請求の各伝票はそれぞれのテーブルからポータルで呼び込みます
  7. 各フィールドは演算速度低下対策のため、単価x数量などの基本計算にとどめ、テーブル間の複雑な計算はスクリプトを用いて計算するようにしました

<編集オプション>
帳票を作るときは行単位の入れ替え、挿入、削除処理があると便利です。ところが、ポータルはレイアウトに複数情報を取り込める反面、命令がとても少なく、行単位の編集作業はスクリプトでサブルーチンを組むしかありません。例えば新行生成は一端データーテーブルに移動し、台帳側で新規レコードをおこしてから元のポータルに戻すやり方をとりました。行を消したい時は、ポータル内の行削除が命令にありましたのでこれを使いました。

<場合分けの注意事項>
If と End If 間で「フィールド設定」を用いた直接演算を行うとき、演算相手にEmptyフィールドが存在する場合、計算されません。数値計算はスクリプトで変数($xx)に取り出して演算し、事後フィールドに戻してやる方法をとりました。

<フィールド探し>
別オブジェクト間との演算やデーター取り出しをする場合、フィールドがあるオブジェクトを指定し、更にターゲットとなるポータル行とフィールドへの移動も指定して、行き先を確実に制御してやります。手抜きをするとデータが読めません。

<最後に>
使用しましたFileMakerのVerはPro12です。データーはネットワークに置いて、WindowsとMac両方からアクセスして使用しています。販売管理はまだベーシックモードですがスクリプトステップも大きく、この規模の構築はPro版では正直大変でした。使用したことがありませんが上位のAdvが良いのかもしれません。

また、今回の経験からこういったソフト構築は常に全体のデータベースの構成がどうなっているかを意識して頭の整理することが必要です。頭がかなりホットになります。自分ではボケ防止の強力な武器だと思っています。さらに個人的な開発は独善的になりやすく、出来れば第三者にデータをチェックして頂くなど色んなケース検討も重要だと思います。

参考にさせて頂いたファイルメーカーの導入書籍は以下です。

参考資料:はじめてのFileMaker Pro12 Studio ノマド著 株式会社秀和システム ¥1980

FileMakerPro 12 スーパーリファレンス for Windows & Macintosh 野沢直樹著
株式会社ソーテック社 ¥2580

<追記>
7月の後半より見積もり、受注、販売系統に「仕入」を加えました。在庫把握がなかなか大変でしたがやっと出来る様になりました。

K.Fukuma

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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