CDの音を良くする(その3電源編)

オーディオでCDの音を良くする、その3です。

CDを良い音で再生するにはいくつかの対策が必要です。前回、この対策の一つであるCDのクロック精度を上げることについて触れましたが、今回は電源についてです。

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<Photo Data>2014/06/13 室戸岬 1/200 f14 EOS7D EF-S 15-85mm f/3.5-5.6 IS USM

自分のオーディオの電源環境は、いくつかの問題を抱えています。
その一つが高い電源電圧です。100V無負荷時の電源電圧は106.5Vから106.9Vあります。
東電の電圧上限(107V)です。電圧が高いとプリアンプのゲインが上がり、静かに奏でてほしいVolumeの位置が1クリック上がってしまいます。出来れば100V近くにおさえたいところです。

二つ目は、機器に入ってくるノイズです。このノイズは、AMラジオを使ってチェックする事が出来ます。AMの周波数帯はオーディオ領域から20倍以上も高い周波数ですが、自環境ではこの帯域までノイズを受けています。

オーディオ機器のノイズは、アイソレーショントランスを挿入して軽減できます。たとえば、宅内の電気製品が発するノイズや系統から入ってくる様々なノイズを抑えることが出来ます。
また、オーディオ電源は、200Vにすることがのぞまれます。200Vは100Vに比べてコモンモードノイズの影響がなく、ノイズについては非常に有利になります。

アイソレーショントランスは、オーディオ用に作られたものがトランスの振動など考慮されていて適していると思います。自環境では、200V:100Vへの降圧を兼ねて中村製作所のものを使っています。電圧が高い問題は、トランスの二次タップを100Vではなく97V程度にロータップ接続にして104V前後の電圧まで落としています。出っぱなし〜107Vより、音は落ち着いています。

ピュアオーディオの各機器には、一台ずつアイソレーショントランスを挿入させます。音源となるCDは、ローレベルのアナログ信号を扱いながら、デジタル機器であると共にモーター内蔵機器でもあるという難しい構成となっています。
ワンコンセントより並列にCDとアンプに電源をとると、CDのデジタルノイズはもう一方のアンプに流れだしてしまいます(その逆も生じます)。ノイズのコンタミは最重要です。
試しに、プリアンプ、パワーアンプ、CDをまとめて一つのコンセントにつないでみてください。バックグラウンドのノイズが増加し、分離感やホールトーンの減退が感じられると思います。
機器別にトランスを挿入するのは、オーディオシステムのS/Nを高めるために必要な策になります。

トランスの容量は、CD用など小電力機器では消費電力相当の、たとえば30VAでは少し音質が固く、数倍の100VA前後で少しやわらかめになりました。10倍程度の400VAでも問題はありませんが、音的には消費電力の数倍で間に合うようです。
トランスのタイプはEI型の方が音の追随性が良く切れが良いのですが、EIトランスはフラックスの処理が難しく、使用上はRコアの方が使いやすいと思います。ただし、Rコア型はコアの固有音がありますので、容量的には4-5倍といった少し大きめのものがよいと感じました。

電源環境の話に戻ります。
自宅に供給されている電圧は、下記の写真のようなピークがつぶれた厳密にはオーディオに適さない電圧波形です。これは、単相三線ですので200Vでも同じ波形です。この波形は、アイソレーショントランスを介しても、入力と相似波形を巻き線比で出力するだけですので良くなりません

_MG_6921_MG_6929住戸の少ない自然に囲まれた環境がうらやましいですね。
対策として、音源だけは色々検討した結果、以下のようにしました。

 

 

<対策>
CDの電源は、波形生成型の電源(ジェネレーター型)」で100Vを作ることにしました。
ジェネレーター型クリーン電源は、たとえば株式会社光城精工のAray シリーズなどから販売されています。この方式は、DC(直流)をPWM変調(パルス幅変調)して、サイン波を生成するものです。この機種は入力電圧が高くても、出力を100Vにアジャストできるほか、X-TAL発振による波形生成としているため、電源の周波数が安定していることが特徴です。
下の写真は自宅の107VのコンセントからAray1KVAを介して出力した100V出力波形です。非常に美しいサイン波(60Hz)が生成出来ています。

_MG_6925_MG_6928特に、CDに使用すると音数が増加します。水晶振動子による波形生成のためCDの回転安定が影響していると思われます。もちろん、S/Nも最上のレベルでノーマルなコンセント接続とは違った再生が可能です。
(注意点として、PCやスイッチング電源と同じようにPWM変調していますので、ローレベルアンプとは離間させて使用します。)

他に波形を生成する電源としては、アキュフェーズPS-1220(基準信号比較方式)シリーズがあります(この機器は未評価です)。

現時点の電源構成は下記です。(2018/08)

①200V:100V中村製作所1KVAアイソレーション→パワーアンプ
②100V→Aray1KVA→120VAアイソレーショントランス→SACD
③200V:100V中村製作所120VAアイソレーショントランス→プリアンプ
④100V:100V自作アイソレーショントランス→MacbookPro
⑤100V:100V 120VAアイソレーショントランス→BusPower Pro2→DAC(BabyFace Pro)
⑥100V→ターンテーブル (トーレンス、マランツ)
PCとターンテーブルは100V直で動かしていますが、アンプ群とアイソレーショントランス、DACとはUSBアイソレートを挿入しているためかノイズの問題は感じません。

2014/06/14 K.Fukuma
2nd 文言修正 2014/06/15
3rd  誤字等修正 2014/06/16
4th  追加修正 2014/06/20
5th 文言訂正 2014/06/25
6th 追記修正 2014/06/27
7th 一部訂正2014/08/706
8th 評価コメント追記 2015/10/16
9th 電源構成の変更 2016/05/27
10th 変換ミス訂正 2016/06/04
11th ジェネレーター電源のコメント追加と電源構成の更新 2016/08/09

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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