オーディオの音を良くする(磁気と振動の抑制)

オーディオの音を良くするいくつかの方法のご紹介です。(本文は既掲載から内容を見直して分割掲載したものです)

今回のテーマは「オーディオの磁気と振動の抑制」です。

<直流漏れの影響>
オーディオは電源部にトランスを搭載しています。トランスの一次側に、交流に混ざって直流が流入するとあっという間にトランスは磁化されてしまいます。
磁化されたトランスは二次側に有効な電圧を発生させることが出来ません。こうした場合、オーディオ機器は何らかの音質劣化が起こります(磁化程度によってはアンプは動作しますので音質低下に気づかない場合もあります)。
直流漏れは100Vまたは200VのAC系統のどこかで、例えば太陽光発電などのインバーターが大きなL負荷をシャットダウンする様な環境で起こることがあります(インバーターのオフ時アンバランスなど)。管理外のどこで発生しているか分からないため対策のしようが無いのが現状です。

DC漏れ(直流漏れ)対策として、オーディオ用アイソレーショントランスにダイオードバイパス回路が付いているものがあります。頻繁に起こる場合はオンにしておくと良いでしょう。
_MG_9720<Photo Data>2015/06/22 庭に来たオナガだと思います(尻尾が長い)。鳴き声は「ギー」と鳴きます。どういう意味か分かりませんが、やって来たら「ギー」です。
Canon EOS5DMarkII、1/8000、f4.0、ISO1250
EF300mm f/4L IS 、USM、センター切り出し、現像無し

入力側にDC漏れプロテクトが無い場合、変化に気づいて対応するしかありません。通常直流漏れがあるとトランスが唸ります。一般にトランスは負荷が大きいと唸りが起こります。直流漏れによってトランス二次側に正常に電力転送が出来なくなり、高負荷と同じ状況となり唸りが発生します。
トランスの唸りがない場合正常と考え、あるとき突然唸り出すと直流が入り込んだということになります。この時点で既にトランスは磁化しています。オーディオシステムのスイッチが入っているときは実は音も悪化しています。
またアイソレーショントランスなど一次側トランスを使用していない場合、アンプ等のトランスが直接DC漏れの影響を受けます。トランスがEI型の場合は今までの重厚な音がしなくなります。トロイダル型やRコアトランスでは、「カンカン」、「キンキン」といった金属調の音になります(磁化程度によります)。こういった状態になった場合一端視聴を停止します。
何だかオーディオの音が変だなと思ったときは疑っても良いと思います。

磁化してしまったトランスは、(磁化したと思われるトランスやアンプ等を)無信号通電でトランスのコアを暖め消磁させます。連続的に直流が入ってこない時、次第に磁気が抜けていきます(数日放置させます)。
一週間くらい経っても機器の調子が戻らない時は他に原因が考えられますが、こういった強制的に消磁しなければならない場合は、RFジェネレーターを使用し消磁することが出来ます。本方法については専門的な知識が必要であり別の機会にふれたいと思います。
尚機器が不調の時、テスターでトランスやスピーカーの導通チェックすることは禁止事項です。テスター内部の電池がトランスやスピーカーのコイルに電流を流し磁化してしまいます。特にスピーカーが磁化した場合は以下の対策が必要です。

アンプからスピーカーが磁束影響を受け音が劣化した時、消磁用CDを再生して系をクリーンナップ出来ます(信号系からスピーカーまでの消磁になります)。但しトランスやカートリッジは消磁出来ません。
自分の使用しているCDは下記です。
Densen DeMagic REFERENCE      Densen Audio Technologies  (www.densen.com)
メーカーは1/週の使用を推奨しています。劣化しているときに使用すると良いと思います。

<フラックス>
電線に電流を流すとフラックス(磁束)が発生します。フラックスはAudioに有害です。
XLRやRCAケーブルなどの信号線はAC電源ケーブルなどパワーラインと接触していると、音落ち(パスエラー)が生じることがあります。電磁シールドがしっかりしていない信号線やACケーブルでは影響が顕著です。アナログカートリッジの出力ケーブルは特に微弱信号であり、信号が弱いほど影響を大きく受け、場合によっては消失します。アンプで増幅しても消えた信号は戻ってきません。ACケーブルと信号ケーブルは離しておくのが無難です。

大きなフラックスを発生する機器としてIH調理装置があります。IH機器がオーディオ機器の近くにある場合、漏洩フラックスがオーディオ機器やケーブルを照射し信号の欠落をおこします。IH調理装置はKW級のパワーがあります。近い場合はフラックスが突き抜けて音楽性が失われるほどの影響があります。
デジタルAudioはクロック信号が影響を受け、デジタル信号の転送が止まったり音楽信号に不要なジッターが生ずるなどの影響が出ます。
IH装置との干渉がどうしてもありそうな場合、調理中はアンプ側の電源は切って視聴しないようにします。レイアウト上できるだけ離すことが出来ればベストです。

<オーディオ用電源専用線>
良い音で聴くには「静寂感」を引き出すことが必要です。この対策は徹底してノイズフロアを下げることにつきます。
電源ラインは100Vより200Vがノイズの点で有利です。さらに、エアコンのラインと並列に使うのは避け、分電盤から200Vでオーディオ専用線をひくことが望ましいと考えます。
専用線は電位降下よりも外部からノイズをもらわないことを重視します。
このため、平行ケーブルより3芯シールドの線材を選びます。また音質的にも評価されているものが良いと思います。
自分の例は以下です。
配線材   ;フジクラ 600V CVT22SQ
コンセント    ;アメリカン電機3220-L6
プラグ      ;同3222N-L6
(200V単相専用線。コンセントとプラグも200V用です)
この線材は初期は押しがあって明るい音調です。使っている内に落ち着いてきます。線材は3芯5.5SQ極太です。
配線は壁内部や天井を経由するため他の電力線とどうしても干渉します。外皮のCuシールドが厚くノイズ防止と磁束遮断の両方に効果があるものを選びました。
シールドが厚いためケーブルはとても固く、配線工事は大変でした(電気工事業者談)。

<振動の抑制>
オーディオシステムは微弱信号を扱いますがスピーカーからは大きな音圧を受けます。床や壁が振動し機器にも到達します。機器自体が発する振動もあります。オーディオ系を高S/Nに保つには、この両方の振動を効果的に遮断させルことが必要です。

他に振動するものはケーブルや端子、コンセントなどの接触部です。
細い電源ケーブルはオーディオアンプ程度の電力使用量では消費電力的にはあまり問題はありませんがケーブル自体が震えます。さらに床からの振動も受けやすくなります。ケーブルは太くして自重を増やし振動影響を減じます。音も落ち着いた太い安定した音になります。ある程度のオーディオ機材では太めの電源ケーブルが付帯してきます。純正で太めのケーブルを使用するのが正しい選択です。それ以上の効果を得たい場合、極太のシールド付き電源ケーブルが良いと考えますが、3P電源ケーブルをコンセントやタップから直接機器につなぐとループノイズを生じますので避けた方が良いと思います(別投稿アースループをご参照下さい)。

さらにピュアオーディオはケーブルの振動だけ対策しても音は余り改善されません。コンセントタップ、プラグも振動します。プラグとコンセントは薄刃同士のかみ合わせです。固有の振動数を持ちます。50Hz、60Hzの電源周波数にコンセントなどの固有振動がのります。さらにプラグとコンセントが別金属同士のものを使用すると、接触電位差が加わり電源周波数の変調とノイズ等の電磁波のグランド引き込みが起こります。
金属の固有振動で問題が無いのは金メッキプラグとタップです。音は自然調で他のものに比べ低域が厚くなる傾向です。銀メッキはきらびやかに、パラジウムなどの固いメッキは固い音になります。
非メッキは使用開始時は刃の金属固有音ですが錆びや酸化が進み酸化膜半導体が出来ます。接触部が変化しメンテナンスをしないと音質が徐々に劣化していきます。
プラグの表面酸化は酸化膜半導体がRF検波(高周波)するため、AM帯やLCDのスイッチングノイズなど外部BCIを電源ラインにひきこんでしまいます。出来るだけコンセント材は最初から影響の少ないものにするのが良いと考えます(金は錆びません)。プラグとコンセントは2Pより3Pプラグが振動の点では安定です。3Pは上記しましたようにループがありますので、アース線を自分で処理できる場合に限り使用可能です。
(別投稿3P電源ケーブルのアースループをご参照下さい。)

また、プラグやインレットの材料は酸化しにくい素材なら本来何でも良いのですが、同じ材料のものを重ねて使うと音質的には足し算となります。例えば、パワー段にAg-Ag(銀-銀)、プリも同じとすると、「銀」+「銀}のキラキラ音が強調されます。信号側が銀ならパワー段は金といったMix使用がなだらかにするコツです。
また、プラグとインレットは電位差の点で同種金属とするのが望ましいです。アンプのインレットのメッキを事前に調べ同じプラグ材を選ぶのが良いと考えます(信号ラインも同じです)。
最終的にケーブル、スピーカーの音調も加わります。
オーディオは音を出しながら調整していくことが前提です。そして決めるのも自分です。音楽を楽しむ為には自分の耳を鍛えてはじめて良い音にしていくことが出来ます。

<配線に関する注意事項>
オーディオ機器につなぐケーブルは太いと曲げにくくなります。これを無理に曲げてつなぐと、やがて時間が経つと必ずといっていいくらい接続部が緩みます。ある日突然結線が外れてシステムダウンとなります。
ケーブルの曲げ応力は気がつかないうちにシステムの音質を徐々に蝕むのです。また、曲げ応力による端子の緩みやコンセント刃の変形は少しずつおきます。小さな変化のため日常的には感知できません。知らないうちに不調になります。
不調になり、よくよく調べるとアンプがダメになったのではなくプラグが原因ということは経験します。
ケーブル配線は力を加えず、指先で曲がる範囲内で使うのが良いと思います。

このような調整でもまだ良い音がしない場合、以下の点検をやってみると良いと思います。

<ラックの振動抑制>
オーディオ機器はラック(またはオーディオボード)とスパイク&インシュレーターで振動をおさえていくのが望ましいと考えます(ラックの剛性で回避することも出来ますが、相当分厚いラックになります。)。
ラックは4本のスパイクで受けます。スパイクにガタや遊びがあると普通の音はしますが空間に響きのある音は出てきません。
スパイク部分は指先でまわる様ならまだよい音はしていません。4本共スパイクが左右に指で動かなくなるまで4点を細かく調整して追い込みます。
特にターンテーブルを載せている場合、ラック上面の水平度も水準器でしっかり調整します。傾いているとダメです。
スパイクとインシュレーターの遊びがなくなったらスパイクはロックナットでしっかり固定します(二重ネジは駄目です。ロックナットは別途購入必要だと思われます)。わずかな調整ですがここを完璧に行わないと4軸の振動アースは達成出来ないほか緩んできます。
終わると、床にテープマークとスパイク高さを計測してメモを残しておきます(ズレたときの参考値になります)。
また、上記のラック&スパイクの構成で、いずれかの機器にオーディオボードやインシュレーターを重ねるのは余り良い方法ではないと思われます。音が部分的には改善されたような気がしますが、時定数も変わるためレスポンスが変化します。改善にまた重ねをすると沼にはまってしまいます(その方が良ければ結果良しではありますが)。
一段上質化を求める場合はボード自体の材質を上げて対応します。

<その他>
もう一つ重要な振動要因があります。
それは電源の入り口です。
ステップダウントランスやアイソレーショントランスから電源を引っ張っている場合、入り口であるトランスの振動がピュアオーディオ全部に影響します。機器側の対策がしっかりとられても良い結果は得られないのです。
ステップダウントランスは一般的なフットしか備えていません。こうした一次側トランスもボードにのせてスパイクで除振します。
自分の例ですが、アイソレーショントランスの4本の足はKRYNA T-PROP M10mmに履き替えています。T-PROPはM10のスパイクネジでトランス全体の水平を出し、位置が定まったところでスパイクネジをロックナットで固定します(ロックナットはメーカーより購入しました)。

コンセントから直接取り出す場合も、コンセントプレートを交換するなど刃部の振動を吸収する対策が必要です。電源の入り口をしっかりさせてやればピュアオーディオは全体として軸の定まった音になります。(電源コンセントなど取り出し部分については別途記載したいと思います)
コントラバスやチェロも足にスパイクを付けています。考えは同じです。

オーディオの越えていかねばならないことの一つとしてコメントしました。本稿のポイントは磁気と振動の抑制でした。

<追記>
スピーカーの増し締めについては、ユニットが緩んでいる場合とても有効ですが、自己検証が不足しており、別途まとまったら掲載いたします。いったん書き込んだ部分は削除させて下さい。よろしくお願いします。
スピーカーの増し締めをまとめ直し投稿しました。

1st 2015/07/10
2nd 2015/07/11 文言修正
3rd 2015/07/13 ミス訂正
4th 一部修正 2015/08/02
5th 文言追加 2015/08/05
6th 文章全体を加筆修正 2015/09/04
7th 磁気と振動にテーマ修正 2015/09/05
8th 加筆 2015/09/24
9th 部分訂正と追記 2016/10/03
10th 増し締め追記 2016/10/05
11th増し締め部分の削除 2016/10/06
12th 全体的なまとめ直し 2017/05/25
13th 見直し追加 2017/05/26
K.Fukuma

オーディオの音を良くする(磁気と振動の抑制)」への1件のフィードバック

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