中期的な観点で市場がどう転ずるか見通しを立て、保有ビジネスを将来に適合するように再検討します。
10年くらい前からの変化を見た方が良いのですが、2012年からいくつかの企業を調べてみました。
日本経済新聞の2012年度の経常利益ランキング予想の上位25社を対象にしました。
ランキングのトップグループは、NTT、ドコモなどの通信系企業が占めています。携帯電話はスマートフォンに転じ、事業はさらに拡大していきました。しかし、この頃の製造業は多くありません。25社中電気が4社、自動車が3社、薬品が1社と上位企業の3割です。
<photo data>2012/05/09 志賀坊高原 (桜が開花しました、遠くは春霞がかかっています。この高原からの眺めは心が落ち着きます。)
EOS5DMarkII EF24-105mm f4/L IS USM f/18 1/30sec
製造業は戦後の発展を支えてきた事業です。その伸びが思わしくなく、やはり製造がどういう方向付けを行っているのかが本チェックのポイントです。
このページは、その中で躍進している薬品会社、武田薬品をチェックしました。
武田の事例をみながら、フィッティングとの関連を述べたいと思います。
武田薬品は1995年から2000年にかけ、それまで行っていた事業を大きく見直ししています。「医薬品に特化」すると宣言しました。
それまで儲かっていた飼料、フードなどもありましたが整理対象としました。
当時の経営者の視点は、薬品メーカーとして将来とどう向き合うかということでした。
事業を直近の利益で判断せず、やがて直面するであろう高齢化社会にどう向き合うかを重視したのです。
「今に高齢化による医薬品が必要となってくる」。そう読んだ経営者は将来の変化を予測し、事業を組み替えていったのです。
フィッティングとは、このことを言います。
自社の行っている事業を利益を産むようにするということです。利益が出ないときは修正し最適化していくということでもあります。当たり前のような決定ですが、日本の企業ではほとんどこの様な組み替えはなされていません。
将来価値を予測するやり方は既に米国では取り入れられていましたが、日本ではバブル一直線の中、またはその直後では成功体験を破壊することは検討課題とはなりませんでした。
将来を見通すとは、次の様なことになります。
例えば中期的なスコープを描き、現在1万人かけ、年100億円利益が出ていても、将来1円の利益になってしまう場合、現在価値はあっても将来価値は1円となります。
人や組織は変更が難しく、10年以降にフィッティング出来る様にする経営判断が必要です。
経営者は、今から先に向かう事業トレンドや技術の進化、到来するインフラの変化などを何本も線を引き、基本的な戦略を作ります。
そしてローリングします。
そして決めた方針を守り抜きます。
長期間こうした考えを貫くのは簡単ではありませんが、リソースは有限であり、規模の追求による事業加算はしないと決めなければなりません。
また、こうした方針転換を行う時は、現在の商品の競争力がある内でないと変われません。このことに注目した、強い商品はより強くという方向に投資を続けます。
武田薬品は、強引に変化していくことは求めず、途中途中で戦略が容認できるルール作りをしながら進めていったと思われます(少しずつスリムな組織化や人員の適正化を行いつつ、しかも客観的な全社ルール作りをしながら推進(2003年武田国男会長の日経フォーラムの講演より))。
こうした武田薬品の戦略は、長期方針に基づいていると言えましょう。一方で、強力な商品を武器に競争力も維持していったと思われます。
1995年に課題が抽出されました。
戦略の,見直しが行われ、具体化し始めた2000年では、純利益が1469億円でしたが、およそ10年後の2011年は、中身を変えても2000年比の2倍の2977億円に利益を押し上げることに成功しています。
<Photo data>2012/09/05 相模鉄道の事業用車 保線用では無いようです。16-35mmのレンズは好きな発色の一つです。ポートレートもボケがあって良いです。画角の中央で撮る必要があります。
EOS7D EF16-35mm f2.8L USM 1/500 f/3.5
<Photo data>2014/10/28 d同上Photoの追加です。SUMSUNG SC-03E(Galaxy 3α) 1/105 f/2.6 3.7mm ISO80
2013/04/07
rev 2014/01/21
Photo 追加 2014/10/28
3rd 誤字訂正 2016/01/04
4th 追加 2019/09/27
福間和則