半導体パワーアンプは一定時間通電しないと本来の音が出ない

オーディオパワーアンプの話です(アンプのエージングの続編になります)。
オーディオは、電気的な計測で音質が分かる様な世界ではありません。音は日によっても変わり、いつも同じ音ではありません。しかしベストではありませんが、機器の能力近くに保つことは出来ます。
今回は、この辺をコメントしてみたいと思います。

アナログアンプ、とりわけパワーアンプを最高の音にまとめるには、あまり良い状態ではありません。特に、聞き始めのプレ通電は必須です。
少なくとも半導体パワーアンプは、聞き始めはほぼ不調と言ってよいくらいの音です。そのまま時間をかければ徐々に良くはなりますが、電源オンからすぐ再生してしまうと、何時間経っても良い音になりません。一日以上アンプをつけっぱなにすると、だいぶ良くはなりますが、次の方法ほどではありません。

パワーアンプを事前通電することは、今までの経験から多分正しいと思っています。自作パワーアンプ、Sansui、yba、アキュフェーズと、どのアンプでも電源投入から数時間は無信号通電が有効です。その後徐にプリアンプやCDプレイヤーの電源を入れます。これらの機器も暖まった頃、信号源から信号を流すということです。これが自分には最良な音です。

パワーアンプ、無信号で数時間通電、このルールさえ守れば、満足出来る音の仕上がりです。
ちょっと、スピーカーを変えると多少変わりますが、今のもの(タンノイ)でいうと、スピーカーのコーンが軽くなったかの様な再生になります(アンプのドライブ力が増したとも言えます)。重いような、わずかに歪んでいるような出音は無くなります。さらに、強い音も、弱い音も、より広く拡散していき、響が出てきます。
一体この原因は何かということですが、アンプの電源投入時のスピーカーへのDCダメージと考えています。
無信号通電について、日本のハイエンドメーカーに問い合わせたことがあります。ハイエンド品に限ってではあるが、通電良化は認識しているとの事でした。追い込み良化を認めています。

比較として、真空管式のパワーアンプはプレ通電は不要だということです。真空管アンプは、電源オン時のDC成分がスピーカーに流入することはありません、真空管式では、出力トランスにダメージは与えますが、スピーカーにはトランスでDCはカットされます。
DCが漏れ、アンプが回復するのではなく、ダメージを受けたスピーカーの回復をただ待っているという考えです。スピーカーはほとんどの場合、内部ネットワークがありますので、ダメージを受けるのはウーハーです。

半導体アンプの出力部はスピーカーと直結です。もしDCが流れれば入出力特性は非線形になり、歪むと思われます。

一般に、パワーアンプはDCオフセットが入っています。直流は漏れないはずですが、電源投入時は影響すると考えます。

(ちょっと脱線です。昔、自作していた頃のアンプはスピーカー間にコンデンサーが入っていました。大容量のコンデンサーでないと低域がロスるということで、そういう設計でした。やがてこの傾向を嫌い、Cレスのアンプ設計が主流になりました。)

この考えが正しければ、結線はアンプが安定した後で(20分くらい)、スピーカーをホットでつなぐ事ですが、最初からいい音だと思います(できませんよね、これは)。
半導体パワーアンプを真空管に切り換えるのが正解かもしれません。
真空管アンプは、半導体と違って、出力インピーダンスを整合させて接続です。長く引っ張れるし、もしょチューブに寿命がなければ真空管 is bestです。

余談ですが、アンプが安定したところでヘッドフォーンをつないで聞くのもありでしょうか。

Kazunori Fukuma
1st 2020/04/20
2nd 一部見直し 2020/04/27

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

Kazunori Fukumaをフォローする
Audio(オーディオ)
シェアする
FKMコンサルティング(FKMConsulting)