バイアンプとブリッジではどちらが良いか

今回は、オーディオの音をよくするシリーズ「バイアンプとブリッジはどちらが良いか」です。パワーアンプを2台にする時の個人的なコメントです。参考になれば幸いです。

<Photo Data>2017/04/02 ニリンソウ 座間谷戸山公園
Canon EOS-1D MarkⅣ EF100-400mm f/4.5-5.6L IS USM
ISO100 400mm 1/800 f/5.6

ピュアオーディオでパワーアンプを2台用いる方法があります。バイアンプ(またはデュアルモノ)とブリッジ(またはBTL)です。どちらもステレオアンプ1台の時に比べ、飛躍的(ちょっと言いすぎかもしれませんが)に音が良くなります。
<Photo Data>2017/04/18 Walking途中で
Canon EOS-1D MarkⅣ EF16-35 mm f/2.8L USM
ISO480 1/160 f/2.8

どちらを選ぶかですが、現在ステレオアンプ1台で、スピーカー接続(以下1台接続)がシングルワイヤーの時はブリッジ、バイワイヤリングならバイアンプが近道です。

<ブリッジ>
ブリッジは同じ(仕様の)パワーアンプを2台使います。信号を正負別に増幅しスピーカーで合成します。負荷インピーダンスが半分になるため1台接続と比べ出力は4倍相当になります。
スピーカー制動がきいた音になり、時に低音の力感や解像感が大幅にアップします。

ブリッジは欠点もあります。これはアンプ1台接続でもあったことですが、スピーカー高域側への逆電圧影響です。ウーハーに信号が印加されコーンが動きますが、コーンが元に戻る時、スピーカー端に信号とは逆の電圧が発生します。この電圧はスピーカーのネットワークを介して、高域側のスピーカー(ツィーター)に伝わります。再生している音楽信号と無関係な電圧のため、耳障りな音が生じます。これはアンプ1台の時ほどではありませんが、気になりだしたらブリッジ接続でも解消されません。

スピーカーケーブルを襷がけ(アンプからスピーカーネットワークの分離入力Hi側にplus、 Lo側をminusに結線する方法)接続にすると、ジャンパー線の影響(下記)も含めて高域の混濁が少しですが緩和されまう。
しかし、ブリッジ接続で襷がけを行うと、スピーカーネットワークのグランドが接地されているかフロートかで異なりますが、ベース電位が上昇し機器のシャーシ電位も上昇します。
ターンテーブルのピックアップやプリアンプの筐体に触れるとビリッとくるかもしれません。

私のスピーカー(タンノイ Stirling SE)は影響があったため、音の確認作業だけで継続検討は断念しました。試しにB&W702に接続すると問題はありませんでした。
ブリッジ接続するときは注意が必要です。

ブリッジでは、スピーカーコネクトは一般的なHiまたはLo端子への平行入力が安全です。
この時は、アンプからスピーカーには高域側か低域側のどちらかに先につなぎ、Hi Lo間はジャンパー線で短絡させます。この平行入力は、先につないだユニットの音圧が若干高くなります。
音質は上記の逆電圧の影響がありますので、高域のS/Nは少し悪化します。ジャンパー線の線質によっても音に影響が出ます。

<バイアンプ>
バイアンプはスピーカーの高低ユニットを、それぞれ別個のアンプでドライブするやり方です。逆電圧の影響はありません。原音を丁寧に取り出す様な高音質再生が可能です。
但し、バイアンプもスピーカーケーブルの影響があります。
独立アンプを介しての接続です。バイワイヤリングの音をさらに改良した音とも言えます。純度の高い再生が可能ですので、スピーカーケーブルの高低バランスが合ってないと結果が出てしまいます。
もうひとつ、バイアンプの低音駆動はブリッジよりも弱くなります。しかし、ステレオアンプ1台接続に比べれば高域の負担が無い分力感は改善されます。

<その他の特徴>
LR(左右)分離は、バイアンプ、ブリッジともモノアンプ駆動です。ステレオアンプ1台に比べ音場が拡大します。左右のグランドが分離されていることが影響していると思います。

グランドについて言えば、ブリッジもアンプ2台でスピーカーを駆動しますが、出力信号がグランドに環流しません。バイアンプは通常のステレオアンプと同じく、グランドに出力信号が戻ってきます。通り道が共有されるバイアンプよりブリッジの方がS/Nは良く、広い音場感が得られます。
従って、ブリッジの方が高域への逆電圧影響はありますが本来は静かなはずです。
ブリッジはやはり高域への逆電圧を如何に抑えるかを対策しないと、駆動メリットが余り得られません。

以下の機器で視聴比較をまとめました。
機材はパワーアンプがアキュフェーズA45を2台。前段となるプリアンプはバランスバッファーを内蔵しているアキュフェーズのC-2820。音源再生はマランツSA11です(SA11もバッファーアンプを持っています)。
スピーカーはタンノイ スターリングSEです。
スピーカーケーブルは、バイアンプは高域がオーディオクエスト製Rocket88(72V)。低域は同Rocket33。端子はYラグまたはバナナのオーディオクエスト製です。
ブリッジ時はRocket88(72V)のシングル使用。ジャンパーはオーディオクエスト製PSC+導体のY/バナナ接続、または タンノイスターリングに添付されていたジャンパー線を使用しました。

空気や部屋を揺らすような音圧・力感を望むならブリッジです。スピーカーに対する駆動力が高く、音の立ち上がりが速いと感じます。ステレオアンプ1台に比べると変ぼうした音です。ウッドベースを弓で弾くコンテンツでは、空気をゴリゴリと押す様な解像感も得られます。これはバイアンプやシングルステレオアンプでは出せません。
でも、楽器やVocalの純粋で且つ静寂な音を求めるなら、スピーカージャンパーが良質の条件付きですが、バイアンプに軍配があがります。ブリッジは広がり感や押し出す強さはありますが高域側の雑味が残ります。
ソースによってアンプを使い分ける事は、、、そんなこと想像するのは止めましょう。

バイアンプはブリッジのベース楽器の様な空気振動は低下しますが、ステレオアンプ1台よりは数段優れています。左右の分離もS/Nも良く、特に中高域の透明感に優れます。音像もはっきりしておりブリッジより高音質になります。プリアンプの音質が出てくるともいえます。
バイアンプではプリアンプの音色を引き出すことが出来ます(ブリッジではそれほど感じません)。使用しているC-2820は倍音が良く出て濃い音です。

自分のケーブルや機材ではバイアンプがバランスが良くベストです。
パワーアンプの出力をもっと増せば更に良くなると思います。スピーカーによりますが、片Ch70W位必要かもしれません。
バイアンプを選択し、パワーアンプの力を上げていく攻め方が答えだと考えます。

1st 2017/05/02
2nd 2017/05/06 文言追加訂正
3rd 文書整理 2017/05/23
4th バイアンプへの電源引き出し方法についての訂正 2017/06/01
5th まとめ 2018/08/14
6th 追記  2020/05/17
7th 誤記訂正 2020/12/26
K.Fukuma

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Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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