CDの音を良くする(その2クロック編)

CDの音質改善の(2)です。
CDによる音楽再生は、なかなか満足な音質にならないということを(1)でふれました。今回はこの原因と対策についてです。

CDの再生で問題と考えられるのは以下です。

  1. モーターとローレベルアナログ回路の同居
  2. 読み取り時の補正
  3. 振動の影響
  4. 電源、CDの相互ノイズ

_MG_7830上記は何れも対策は可能ですが、対策を進めるとだんだんハイエンド機になっていきます。この4つの原因の中で最も音質が向上するのはクロックと電源です。電源はオーディオ系全般に影響しますので別の機会に触れる予定です。

クロックはCDの説明書等に、高精度クロック搭載(絶対値で1ppm位)と記載されていたら最高レベルのものです。例えばデノンの最上級グレードのDCD-SXのクロック精度は±0.5ppmです。この機種では発振器を恒温槽に入れています。通常の水晶振動子(以下X-TAL)はケースの中に入っているだけですので、温度ドリフトは1〜数桁高くなってしまいます。クロックの精度を高めるほどデジタル信号の読み取り精度は上がり、音質も原音に近づいて行きます。

<Photo Data>2014/04/05 今年も桜が開花(近隣のS小学校近く、川沿いの桜です)。昨年同様今年の咲き具合も良好です。天気は曇りです。写真は晴れた日より天候が悪い方がよく撮れます。一般に背景のコントラスト比が高いと中間の明暗の表現が難しくなります。
EOS5DMarkII EF24-105mm f/4L IS USM 1/1000 f4.0 

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<Photo Data>2015/04/01 天候は曇り(ここを撮る時はいつも悪い天気です) 昨年より4-5日早い開花です。EOS5DMarkII EF24-105mm F4/L IS USM ISO500 24mm 1/1250 f6.3

クロック対策は水晶振動子の交換が必要です。また発振部の電源の安定性確保などいくつか付加しなければなりません。また、交換に当たって既存X-TALの取り外しはとても難しく、交換を検討される場合はチューンナップを行っている所に委託されるのが良いと思います。また改造される場合はメーカーサポートは難しくなると思います。

中古手持ちなど古い機種で検討するのが良いと思います。
今回は、7年前のデノンの中級クラスのものに対策を講じることにしました。交換したX-TALは三田電波製温度保証型のものに交換しました。発振基板の写真は下記です。発振精度はカタログ上±2.5ppmです。供給電源は内部の電源からとり、電圧安定化を講じました。取り付けは内部のサイドパネルです。。

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自分のこの機種での主な使用はリッピングですが、プレイヤーとしての使い方をしてみてもハイエンド機相当の音質が得られています(X-TALの他アナログ出力回路の電源も改良してあります)。

CDのようにデジタル信号の復調はオンタイムで盤を回して取り込むのはとても不利です。PCに音源データを取り込んで再生する方が断然良くなります。クロック交換はリスキーですが、曖昧補正やアナログ回路へのノイズのかぶりから脱出できますので大幅に改善させることが可能なのです。

クロック以外のCDの対策も必要です。
室内で音楽鑑賞すると、スピーカーからの空気振動は避けられません。この音による振動が出来るだけCDのクロックやピックアップの読み取りに影響しないようにすることが必要です。機械的な振動抑制は機器内部には対策することが少なく、主にCD機器の下部にインシュレーター(振動吸収)を入れて振動を軽減させます。CD装置は少なくともオーディオ用のラックに収め、床からの音の直接伝搬をスパイク等でブロックさせるのがよいでしょう。CDの下敷き的なインシュレーターだけででは振動の軽減化はできません。
CD下部に敷くインシュレーターはサンシャインの薄型制振シートなどがあげられます。

インシュレーターは効果が限定的だという前提で進めることが肝要です。機械振動が除振されていくと都度音質は変化していきますが次元が違う所までの変化は得られません。また、やりすぎると特徴的な周波数領域が持ち上がったり或いは低下してしまい、この変調をとるためにインシュレーターの追加を繰り返してしまうと沼にはまってしまいます。メーカー標準のフット4個の交換などにとどめるのがよいと思います。

CDの対策は、もうひとつ内部のアナログ出力を使わない方法があります。モーターから出るノイズは基本的にCD内のアナログ回路を使わないのがベストです。アナログ部分を離すということはCDからデジタルのまま信号を取り出すということになります。
簡単な方法は以前紹介しました
CDのデジタル出力から光(トスリンク)または同軸出力からDAC(D/Aコンバーター)につなぎます。光出力の方が同軸出力よりも幾分音が甘くなります。同軸出力がある場合は、同軸(Coaxial)ポートを活用するのが良いでしょう。特に低域の安定性が増します。また、同軸ケーブルは1m程度で、出来れば主導線が銀単線のものがおすすめです。銅線でも可能です。ケーブルもオーディオでは魔物です。銀線の伝送による音調は多少きらびやかとなります。銅線は少し寂しい感じの音調になります。

プリアンプまたはDACにデジタルとアナログの2系統が可能な場合、ジャンル別に音決めすれば良いのでは無いかと思います。(ケーブルは同種のケーブルを、例えばトランスポートープリ間とプリーパワーアンプ間に重複使用しますと、その導線の特徴のf特が強調されてしまいますので、銀と金といったように全体の系で混用調整するのが良い方法です。

尚、デジタル出力で同軸を使用する場合、DACとCDの中間にデジタルノイズフィルターを入れた方がベターです。ジッター系のノイズはかなり削減できます。電源の問題やフィルターなど、別項でご紹介したいと思います。

1st 2014/04/23
2nd 誤字等修正 2014/04/27
3rd リンク先追加及び文言修正等 2014/04/29
4th 追記と修正 2015/01/21

K.Fukuma

 

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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