オーディオ 音に元気がなくなったときのチェックと対策

今回は、オーディオの音が最近元気がないと感じたときのチェック方法と対策についてです。
オーディオシステムの調子が急に悪化したときは直ぐ分かります。しかし、徐々に調子が落ちているときはなかなか分かりません。感覚的でいいのです。「このところ良くないな」と思ったら是非やってみましょう。
<Photo Data>
2019/04/06 目久尻川沿いの桜(今年の桜は長く楽しめました)
Canon EOS-1DX EF24-105mm f/4L IS USM
f6.3 1/1250 28mm ISO320

オーディオシステムは、再生、増幅、出力のパートからなります。再生部分は音源を取り出すところです。増幅はアンプです。
再生と増幅は、音が出ない場合を除いて、おかしい時は音楽成分に「歪み」や「ノイズ」などが加わってきます。この場合は、聞いてきて大体判断できます。
もし、ひずみやノイズがあるときはメーカーに修理依頼しましょう。

ひずみやノイズ以外の調子が落ちた時は、アンプなどの故障が原因ということはあまりありません。
音に元気が無くなったとき、また何となくつまらない音という時は、どこかの帯域で音の「強さ」が低下していることが多いのです。

こうしたときの点検は再生から増幅、出力系(スピーカーです)の電気接点を点検します

①アンプとスピーカーの端子
アンプとスピーカーは、アンプ、スピーカーの端子の締め具合を先ず調べます。締めたものは緩みます。スピーカーボックスは振動していますので、スピーカー端子がYラグや螺線のネジ締めの時は、管理の確率で緩んでいます。
このときは、音が丸まって遅れ気味になります。
締め直すときは、利き手の親指、人差し指、中指の3本の指で増し締めします。絶対にレンチはいません。レンチを使うと、端子が破損し、アンプ内部やスピーカー内部の直結基板が損傷します。
指三本ならかなりの力で締めても大丈夫です。
適切に締め直し、電気的な接点の緩みが無くなれば本来の音に戻ります。

緩みやすい結線は裸線結線です。撚り線をそのまま締め付けても、線束で出来た断面が崩れ、時間がたつと螺線が外に逃げて止めたはずのネジがやがて緩んでしまいます。
当然、音の調子は落ちていきます。
裸の線端をYラグやバナナにすると、端子が硬いためつぶれません。つまり接続は安定しますが、Yラグはやはり緩んでいきます。望ましい接続はバナナですが、この音を好まない方もいます。

②電源プラグ(オス、メス)
音の調子を落とすもう一つは、電源プラグやコンセントなどの電気接点です。電源ケーブルは線径が大きいほど音は良くなります。しかし、スピーカー端子同様、電源ケーブルも裸線のまま締め付けると、時間がたつと締めたところがさらにつぶれていきます。
つぶれると当然んで、電力伝達障害が起こり、出力音に「モッタリ感」が出ます。音は出ていますが、低域の立ち上がりが遅れ、高域の低下も起こります。低音も出にくくなります。しかも、これもじわじわと変化します。

<電源部位の対策>
電源ケーブルが問題ないかは、別のケーブルに交換して音の比較で判断します。交換して良くなればケーブルが原因です。

電源ケーブルの3Pプラグは分解チェックが出来るのでお薦めです(コンセントは電気工事事業者の方にチェックしてもらうのが良いでしょう)。

下の写真は何年も前に、上記の症状があったときのプラグです。
このときは、Nライン(白)に問題がありました。電気的につながってはいますが、線材がツブれて少しゆるくなっていました(L極(黒)、G極(緑)も問題ありませんでした。
左の写真はGラインにノイトリックの銅管をかぶせています。3Pで極太の線をプラグに挿入するときはこの様なCu管をかぶせて締め付けると安定します。Cu管を使うと、締め付けに断面の逃げが起こりにくいのです。緩みがおこりにくい接続です。
こんな3Pプラグのアッセンブリーは、ちょっとした工夫が必要です。写真の線は5.5SQの太線です。
少し脱線しますが、3Pの組み立ての自分の方法をご紹介します。
被覆を約8mm程剥きます。5.5SQは断面積が大きく穴径に対して余裕がありません。被覆を剥いた部分をさし込むときは、ワイヤーがほぐれないようにするのがポイントです。
撚れてしまって、さらに挿入しようとすると余計入りません(先端を二分割するならOKですが奥まで十分入りません)。

ビニール被覆に切り込みを入れ、被覆を半分ほどピンセットで引き抜きます。先端に被覆を残したままプラグ穴に押します。被覆先端が少し入ったところで、被覆をカッターで切りとります(被覆は挿入ガイドの役目です)。そしてそのまま奥まで押し込みます。
あとは、ドライバーで線材が抜けないようにしながら目一杯の力で締めます。

撚れを作らず、全線乱さず、プラグにさし込めたら成功です。
狭い穴にぎりぎり挿入することで、締め付け後も断面が確保されます。
ネジ締めはネジをつぶさない様、押す力も回す力も両方強く締めます。
ビニール被覆をとり、ノイトリック製パワコン用のカッパー管をかぶせる(上の写真のGライン緑)のが有効です。5.5SQの線が丁度入ります。但し、音色に少し影響がありますが悪くはありません。

下の写真はオヤイデの既製品です。非常にきれいな接続です。

コンセントタップも同じように緩みが出ます。電源端子も、スーカーケーブルも長年何もせずキープするのは難しいということです。
スピーカー端子、電源プラグ、タップなど機械的に締めた接点は音質の維持に重要と考えて下さい。
対策後の音は、歯切れ良く、しかし粒の小さな音も表現できるすばらしい音になるはずです。

Kazunori Fukuma
1st 2019/04/20
2nd 一部訂正 2019/04/21
3rd 変換ミス訂正 2019/04/23
4th 2019/06/17
5th 誤記訂正 2020/12/28

My profile
Kazunori Fukuma

職歴前半は半導体デバイス開発技術者、後半は経営者としてやってきました。事業の立て直しや新規事業育成、競争戦略などを得意としています。
きっとお役に立てると思います。
投稿は主にAudio、写真、Programingです。Audio歴は50年(長いだけですが)です。学生時代のライブ活動、研究テーマがノイズ抑制だったことなどがきっかけで、音の追求は今も続いています。

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